ウシュマル遺跡

今日の予定は、メキシコシティよりウシュマル遺跡を見学し、メリダまで行く事になっている。 いよいよマヤ文明の代表的な遺跡であるウシュマルを見る事が出来るのだ。  しかし、今日も天気は快晴である。 そして、マヤ文明の遺跡は何故かジャングルの密林を切り開いて造られているので、非常に蒸し暑いのである。 この天気では尚更だ。 しかも、メキシコでは水の質が悪く、生水は飲めないので、水分補給にも気を付けねばならない。 今日一日を乗り切る事が出来るか、若干の不安を残しつつ、ウシュマル遺跡の見学が始まった。

ウシュマルは7世紀初頭のマヤ古典期の遺跡で、プウク様式の彫刻・幾何学的なモザイク等での過剰な装飾を特徴とする建造物で有名である。 特に雨神チャックの装飾を多用している事が注目されるという。
それはさておき、いきなりビジターセンターで土産物屋によるマヤ文字の講義が始まる。 講義の後には、なんとお好きな言葉をマヤ文字に翻訳して、壁掛け(?)を作って下さるという有り難い申し出があった。 普段は土産物なんぞ買わない自分が、何故かこのときは(既に暑さにやられていたのか)こんな物を申し込んでしまった。 当然の事ながら、現在では一度も使わないまま、所在不明となっている。 旅は人を「バカ」にさせる(事もある)といういい例であろう。

魔法使いのピラミッド

直線的な遺跡が多いマヤ文明にあって、珍しく曲線的で女性的な印象を与える美しい遺跡である。 三百年の長期間に五つの神殿を積み重ねて造られた多層建築である。 正面階段の側面の雨神チャックの装飾が見物である。
こっちの階段は傾斜43°

魔法使いのピラミッドは、正面と裏側の両面に階段があり、途中に隠された神殿への入り口(写真中央上部の穴)等がある。 写真は裏面の階段で、ビジターセンター側からは、この階段のお出迎えを受ける。 傾斜43°の結構急な階段なのだが、正面側の階段はもっと壮絶な階段になっていた。 ガイドから説明と階段についての脅し(?)を受けて、ピラミッドの階段を登って行くのだった。
待つのも仕事だ、楽じゃない・・・

ピラミッド頂上部から見た尼僧院の建物である。 建物の入り口に小さく見えているのは添乗員のH女史とガイド氏である。 我々にとっては観光でも彼らにとっては仕事である。 ジャングルの密林の中、くそ蒸し暑くてもひたすら客の帰りを待たねばならない。 いやあ、どんな職種でも仕事は大変ですね。
こっちの階段は傾斜72°

これが恐怖の正面階段、なんと傾斜は72°である。 頂上部から見ると、ほぼ垂直に近い傾斜に見える。 登ったはいいが、降りられなくなる人もいるとかで、なかなか大変な階段ではある。 大抵の人は、写真の如く設置された鎖に掴まりながら、こわごわと降りて行くのだが、自分は山や滝で結構急な斜面に慣れていたせいもあり、鎖なしで降りて行った(只の無謀斗も言う)。 そしたら、ガイド・添乗員の両氏から、鎖を使わずにこの階段を下りたのは初めて見た、等と言われて少し得意になる。 今考えると赤面ものではあるが・・・。 
雨の神チャックの装飾

正面階段の側面を飾る雨神チャックの装飾である。 プウク様式の建造物にはこのような装飾がこれでもかと言うくらいに付けられているので、最初のうちは「すごいなー」等と素直に感動していても、終いには「ああ、そうですか・・・」くらいに落ち着いてしまう。 何でもやり過ぎは良くない、と改めて考えさせられたのだった。でも宗教なんだから仕方がないのかなあ・・・。
総督の館

ウシュマル遺跡の中でも最も美しく壮麗と言われるのがこの総督の館である。 二万個以上の切石を使って写真の様なプウク装飾が壁面全体を覆っている。 その外観から貴族の邸宅、あるいは行政府との説があるが、実際の用途は不明の建物である。 しかし壮麗な建物ではあったが、そろそろ風ひとつ吹かない熱帯雨林の猛暑に耐えられなくなりつつある我々としては、もっと眺めていたい感動と早く涼しい所に行きたいとがゴッチャ混ぜになった複雑な気持ちが芽生えていたのであった。