仙ケ岳(不動滝道)

955m

山域:鈴鹿山脈

1999.11.14



林道を登山口へ向かう

登山口は茶畑の中に

下不動滝の高巻き

宝印古場の石仏

源流部の涸れ沢を行く

東峰山頂(仙ノ石)にて
鈴鹿山脈の南部、仙ケ岳東峰を源流とする鈴鹿最大の落差100mの大滝が存在する事を知ったのは、数年前「近畿の山 日帰り沢登り」という遡行ガイド集を読んでいる時であった。 当時から滝には興味があったのだが、遡行が必要な滝などは自分のレベルからして無理だと思っていた。ところが今年の秋になって、同志である某F氏からの情報でこの下不動滝を経由して仙ケ岳に登る一般ルートが存在する事が判明した。 詳細記録を見てみると、何とかいけそうである。 しかし自分達だけでは不安が残るので、同志会のコーチ役でもあるF見氏の協力を得て、このルートに挑戦する事になったのである。

参加メンバーは、私・F本氏・F見氏・A女史の4名である。 伏見に集合し、F本氏の車で鈴鹿を目
指してひた走る。 少し道を間違える事もあったが、8時過ぎには駐車場所である坂本集落に到着したのであった。 野登山への林道を右に見送り、登山口への林道をどんどん歩く。 車1台走るのがたっとの未舗装の林道を歩くことおよそ40分で、登山口のある茶畑に到着する。 一旦、茶畑を行き過ぎて適当な踏み跡を拾って沢に出ようとするが、正しい道かどうかの確信が持てない為、茶畑まで戻って正規ルートをたどる事にする。 茶畑のまん中奥に赤にテープが巻いてあり、ここが登山口となる。
意外とはっきりしている踏み跡をたどり、小さな沢を二つほど越えると矢原川の本流に出会う。 予想以上に水量が少ないのは喜ぶべきか、悲しむべきか。 すぐに右岸に渡り、炭焼きの釜跡と越えて左岸に渡り返す。 落差5m程の滝を本流に見た後に、更に右岸に渡り返していくつかの釜跡を過ぎると、意外にスムーズに切下の滝に到着する。 ここまでの所要時間は30分程度か。 要所要所に赤テープがあり、目印には事欠かない。 切下げの滝で休憩を兼ねて撮影タイムを取って頂く。 落差40m程の三段の滝、と思ったら二段目の上で休憩していたF見氏らが、一の滝の標識を発見する。 すると三段の滝に見えたのは、一の滝だったのか・・・。 それにしても水量は少ない・・・。 こりゃ写真にならんかな等とおもいつつも、ひとしきり撮影して一の滝へ向かう。 切下げの滝と一の滝は連瀑帯になっており、普通なら三段40mと表現すべきだと思うのだが、誰がこの振り分けをしたんだろうか。 快晴の空から降り注ぐ太陽の光が滝にもろにあたり、コントラストがかなり強い。 水量少なく、コントラスト高く、写真としては難しそう・・・。 それでもしつこく撮影して、重い腰を上げる頃には、30分が過ぎていたのだった。

一の滝は右岸に張られた2本のロープを使い滑りやすい岩場を登る事になる。 しかし、この岩場は一度登り切ってしまうと、下る方が危険な場所なので、これを登ってしまうと下不動滝の大高巻きが終了するまで逃げ道が無いので注意を要する所であろう。 倒木や岩が転がる荒れた谷を50m程進むと、いよいよ下不動滝の登場である。 やはり水量はとても少ない。 しかも、滝自体が屈曲している為、滝壺付近からでは全貌が判らない。 少し粘るがどうにも写真にならないので、諦めてF本氏らが先行する左岸の高巻き道を登り始める。
少し進むと滝の全貌を捉える事の出来る岩場があり、F本氏らが待っいててくれた。 既に滝壺から20mは登っているはずなのに、最上段の滝は頭上遥か彼方にあるではないか。 滝のスケールに驚きながら、全景を納められる場所を探して、ザックを下ろしてカメラだけの空身で、断崖絶壁に張り出した岩棚の上から撮影する。 三脚を立てる場所も無い程に狭い岩棚の上で、手持ちで何枚か撮影すると再び高巻きを開始する。 踏み跡はあるものの急な斜面を、立木につか
まりながら腕の力で、身体を引きずり上げて行く。 次第に高巻き道は滝から離れ、傾斜が緩み水平に近い道になったと思ったら、急な下りを経て下不動滝の上部に飛び出した。 銚子口を見に行くというF見氏を残し、少し進んだ所で休憩を取る。 結局、この高巻きに40分程かかった事になるか・・・。 視界の隅で動く物を感じて、ふと振り向くとジャージに運動靴の兄ちゃんが、足取りも軽く駆けて行くのが見えた。 この近くには観音像を祀った洞窟があるらしいから、そこにお参りに来た地元の人だろうが、やはりこんな場所でこんな風に出会うと違和感があるから不思議だ。 場所を考えると、まだカモシカかイノシシの方が自然に思えるからおかしなものである。

相変わらず水量の少ない谷の右岸を暫く行くと、落差15m程の滝に出会った。 状況からしてこれが矢原の滝だと見当を付ける。 滝の上部の木々が、いい具合に色付いている。 ここでまた撮影タイムを頂く事になる。 さっき休憩したばかりなのに、と恐縮しながら何とか絵になりそうな場所を探して滝の前を右往左往する。 この滝は左岸の岩場から巻く事になるのだが、取り付きにいい足場が無く少し面倒だが、そこさえ通過できれば固定ロープ等もあるので、後は楽に通過出来た。 高巻きが終わると、谷の奥に8m程の滝が見えるが、赤テープは右の踏み跡を指している様に見える。 この踏み跡を少したどってみるが、全く別方向に進んでいる様に思えるので、谷筋に戻り別のルートを探す事にする。 どうやら奥の8m滝は、不動滝の最下段らしい。 よく見ると右岸側にいい巻き道がある事がわかった。 この巻き道を登って行くと、不動滝の二段目への踏み跡が分かれるので、そちらに向かう。 30m程の岸壁を滑る様に流れる優美な滝(と言いたいところだが、水量が少なく崖直前だ)なのだが、滝壺の向こうはすぐに最下段の銚子口になっていて、足場があまり無い。 引く事も寄る事も出来ず、さりとて三脚立てるスペースも限られる。 今回はこんな状況が多い、写真の出来は余り期待できんな等と考えながら、しばし撮影させて頂く。 しかし、記録によれば、滝の両側に不動明王が祀られているとの事だが、流れの両側に穿たれた穴はあるのだが、
肝心の不動明王は影も形も見当たらない。 何があったんでしょうねえ。

元の道に戻り少し登ると、そこはもう宝印古場である。 4体の石仏が鎮座し、酒瓶が積み上げられている。 今でも祭事が行われているのであろうか。 ここは不動明王の祠を経由し南尾根ルートへ向かう道との分岐になる。 滝だけを目的にするなら、ここから引き返す事も出来るだろう。 ここで食事タイムを取っていると、12時になった。 先はまだ長いので、早々に腰を上げる。 これからは沢をダイレクトに登っていく事になる。 この辺りまで来ると、伏流になったのか殆ど水は流れていない。記録によれば幾つかの小滝もあるはずだが、今はただのガレ場と化しているようだ。 だだひたすらに沢の中の歩きやすい所を選んで上を目指して行くと、大きな二股を2カ所経由して源流部に出る。 最後の詰めはいつも急登である。 喘ぎながら、木の根や草等につかまりながら、ただひたすらに上を目指して登っていくと、ついに仙鶏尾根の稜線に飛び出した。 驚いた事に割と新しい標識があり、不動谷ルートへの矢印があるではないか。 こんなとこ下るルートじゃないよねえ、なんて事をしゃべりながら、最後の急登を仙ケ岳に向かって進んでいった。 東峰の仙ノ石で記念撮影を済ませ、私とF本氏は休憩、F見氏とA女史は西峰に向かった。 周囲はそれなりに紅葉してはいるが、やはり色はくすんだ感じで、あまり見栄えがしない。 天気が良過ぎて全体的に展望もぼんやりした感じだ。

東峰と西峰の鞍部でF見氏らと合流して、白谷ルートを下って行く。 こちらも源流部だからか水はなく、ひたすらガレ場の下りである。 ここでとうとう持病の膝痛が再発した。 最初は右膝だけだったが、右をかばって歩いていたらすぐに左膝もおかしくなって来た。 スピードはガタ落ち、頻繁に休憩を取ってもらい、だましだまし下っていく。 途中で白滝の撮影をさせてもらったが、その下の堰堤までの歩きが何と長く感じられた事か・・・。 時間はもう4時近い。 秋の日暮れは早いので、なんとか日のあるうちに営林署小屋までは下りたい。 ちょっと焦りながらも、ちゃっかり途中の白雲の滝で撮影させてもらう(フィルム切れで1枚しか撮れなかった、しかも暗過ぎて写真にならなかったが・・・)。 営林署小屋に到着したのは4時45分頃、ここから延々と林道歩きと車の回収に向かわねばならない。 日が暮れて暗くなっていく林道を歩いていくと、悲しい事に至る所がごみ捨て場と化している。 林道脇の空き地は廃車置き場と化しているし、崖の下に落ちている車はあるし(事故じゃないかとちょっと不安はあったが・・・)日本人のモラルはどうなっとるんじゃ、と叫びたくなってしまう。林道が終わる頃にはかなり暗くなっており、当初の予定の東海自然歩道経由の道は見送ることにして、坂本集落までの車道をひたすら歩いていった。 坂本集落の入り口まで着くと、F本氏とF見氏が車を回収に行って下さるとの事、大分良くなってはいたが膝が心配だったので、ありがたくここで休憩させて頂く事にした。 長い待機の後、以前にも寄った事のあるすみれ温泉で汗を流して、今回の山行を終了したのであった。 皆さん、お疲れさまでした。


天 候 − 晴れ 後 曇り

コース − 坂本集落 → 茶畑 → 下不動滝 → 不動滝 → 宝印古場 → 仙ケ岳東峰 → 白谷 → 
       林道終点(営林署小屋) → 林道車止め(跡)  → 坂本集落