仙ケ岳〜御所ケ平

955m

山域:鈴鹿山脈

1997.11.08



仙ケ岳西峰より御所ケ平方面

御所ケ平分岐より

御所ケ平より仙ケ岳

延々と連なる笹とススキの原

家老平より御所ケ平を振り返る
鈴鹿山脈も盟主である御在所岳、鋭峰−鎌ケ岳、セブンマウンテン最南部の入道ケ岳を過ぎると、訪れる人も少なくなり、静かな山歩きを楽しむ事が出来る。 その中でも仙ケ岳は比較的ポピュラーな山ではあるが、仙ケ岳から南西に連なる稜線は、訪れる人も殆どいない。 そこに御所ケ平・家老平という場所がある事を知ったのは、山歩きを始めて間もない頃に見たあるガイドブックでの事であった。 昔、さる国の殿様が何人かの家来を連れて逃げ込んだというこのあたりは、一面の笹とススキが広がる別天地だという。 ある晴れた日、深まりゆく秋の哀愁を求めて御所ケ平に出かけたのだった。

鈴鹿ICより石水渓に向かい、坂本の集落を過ぎた所で右折し林道ゲートに到着すると、既に数台の車が停められていた。 あまりにいい天気なので、同行者が準備に手間取っているうちに何枚か写真を撮る。
登山口となる営林署小屋までは、単調な林道をひたすら歩く。 周囲の木々も林道側は植林が多いが、対岸はそこそこ紅葉しているようだ。 30分程でようやく林道終点に到着する。 ここから山道になり少し行くと南尾根ルートと白谷ルートの分岐である営林署小屋(跡?)である。 営林署小屋の裏手から白谷ルートを進んで行く。 しばらくは、高巻き気味の道を進んで行くが、徐々に高度を落として沢の徒渉を繰り返すようになる。 沢沿いの傾斜の殆ど無い道を、何度も徒渉を繰り返しながら進んで行くと、営林署小屋から約40分で御所谷の出会いに到着する。 今日はここから御所谷ルートを進み、稜線に向かうのだ。 御所谷は白谷の出合いで、落差10m程の緩い傾斜の滝を駆けており、この滝を高巻くように御所谷ルートは始まった。 高巻きが終われば、後は白谷ルートと同様に沢沿いの道が続いている。 あまり歩かれないルートのはずだが、割と道はしっかりしている。 途中の二股でちょっと迷いかけたが、案外すんなりと稜線の縦走路に到着した。 このあたりでは、すでに木々も葉を落としており、積もった落ち葉がクッションになりとても気持ちが良い。 適当な広場もあるのでテントを張って一晩過ごしたいなどと言いだす人もいた。 確かに昼寝でもしたくなるような心地よさだが、物事が順調に運んでいると欲が出るのが人間で、折角だから仙ケ岳まで行こうかという事になる。 そこそこの急登を15分程で仙ケ岳西峰に到着する。 西峰は三角点があるものの、とても狭いので数人も人が来れば、居る場所が無い程である。 ここで早めの昼食とする。 快晴なので周囲の展望は素晴らしく、近くは東峰の仙ノ石から続く南尾根の稜線やこれから行く御所ケ平方面、遠くは北に連なる鈴鹿の峰々が遠望出来た。 景色を眺めながらのんびりしていると、そろそろ白谷を登って来た人達が山頂に到着し始めたので、場所を譲って先に進む事にする。 先程の御所谷分岐まで戻り、今度こそ御所ケ平方面へと進んで行くのであった。 暫くは広葉樹林の中の気持ちの良い尾根道を行くが、突然開けた所に出ると、その先は延々と続く笹とススキの平原であった。 ただの笹原ならば鈴鹿にはよくある風景なのだが、このススキ原にはしばし言葉を失い、誰もがゆっくりと歩を進めて行く。 左手には先程まで足の下にあったはずの仙ケ岳が、ススキの向こうにどっしりと腰を下ろしている。 この素晴らしい笹とススキの別天地を御所ケ平と言うのであろうか。 延々と連なるススキの中の道を進んで行くと、段々ススキの背丈が伸びて来て、終いには人間の背丈を越えるススキの中をわずかな踏み跡をたどって行くようになる。 そのうちにカモシカよけのフェンス沿いに進むようになると、ようやくこのススキ原も終わりに近づいたのか、樹林があらわれるようになる。 木々の下草はもちろん笹である。 
ガイドブックによればこの辺りに御所ケ平の山名表示板があるはずで、そこで休憩するつもりであったが、いけどもいけどもあらわれないので、適当に休憩をとる事にする。 それにしても、自分たち以外は誰にも人間がいない。 一人の登山者にも会わないのである。 いかにマイナーな山域とはいえ、鈴鹿ではあまり無い事ではないだろうか。 でも、周囲の木は杉のように見えるが、そうするとそのうちこの楽園も、杉の木に覆われてしまうのだろうか。 人の生活の糧になるとはいえ、なんだか寂しい気がする。 植林帯(?)を抜けると、今度は一面の笹原である。 このあたりが家老平であろうか。しばらく単調な笹原を行き、ふと振り返ると既に傾きかけた太陽に照らされた御所ケ平のススキが風に揺れて光っていた。 再び樹林帯が近づくとこの山上の楽園も終わりである。 樹林帯を大きく下ると石水渓方面への縦走路との分岐に出る。 石水渓まで行って見たい気持ちを押さえて、今朝の林道方面へと下る茸谷(?)ルートへと向かう。 いきなりの崩落気味の危ういトラバースを過ぎると、植林の中の単調な下りとなる。 延々と下ると、沢沿いの緩い下りになるが、ここからがまた延々と続く道で、壊れかけた木橋やちょっとした鎖場等のアクセントはあるものの、疲れた身体にはとても長く感じられるのであった。 いい加減にくたびれたので、ちょっとした平地に出た所で大休止を取る事にする。草の上に寝ころがり空を見上げると、爽やかな青空が心地よい。 充分に休息を取りながら、今日歩いて来た山上の楽園の事を思い返す。 いつまでもあの楽園が楽園のまま残るように願いを込めて・・・。 重くなりかけた腰を上げて沢を徒渉すると、何とそこは今朝通った林道終点であった。 長かった帰路もようやく先が見えたのをみんなで喜びあいながら、車止めまでの単調な林道を元気よく歩き始めるのであった。


天 候 − 晴れ

コース − 林道車止め → 営林署小屋 → 御所谷出会い → 稜線 → 仙ケ岳西峰 → 御所ケ平分岐 → 
       御所ケ平   → 家老平    → 茸谷       → 営林署小屋       → 林道車止め