苗場

2145m

山域:上信越

1999.07.11〜12



ガスにおおわれた山

高層湿原の池塘

遥かに続く木道

山頂付近の湿原


霧の襲来
 「苗場」と言う言葉を聞いた時、普通の人であれば苗場スキー場を思い浮かべるだろう。 山に興味のある人ならば、日本百名山として、あるいは一等三角点の山としての苗場山を思い浮かべるかもしれない。 しかし、私が苗場山に興味を持ったのは、山頂部に広がるという高層湿原地帯を有する山としてであった。 何かの本で山頂部の湿原地帯の写真を見てから、一度は登ってみたい山として心の奥に残っていたで所であった。

梅雨の晴れ間を当て込んだ7月11日、同好の士であるF本氏、A尾女史、M下女史と苗場山行きを決行したのであった。 しかし、なんと言っても苗場山までは遠い。 そこで、今回の計画では、11日の朝に名古屋を出て山頂で宿泊し、12日早朝に下山し、自分は周辺の滝巡り、F本氏らは四阿山へ登るという「柳の下に二匹目のドジョウを狙う」ような虫のいい事を考えていたのだった。

自宅を朝7時に出発し、中央道→長野道→上信越道と経由し登山口の小赤沢に到着したのは、12時を30分以上まわった頃であった。 50台は止められそうな三合目の駐車場はほぼ満車状態で、隅の方にやっとスペースを見つけると、「やはり苗場は遠いなあ」等という感慨もそこそこに、身支度を済ませて歩き始める。 天候は曇りだが、梅雨の合間のせいか、高層湿原の呪いか、足元はかなりぬかるんでいる。 4合目の水場を過ぎるともうドロドロである。 足場がわりに丸太が道に植え込んであるのだが、ドロドロの泥をかぶって所在自体がはっきりしない。 この辺りか、と狙いをつけて踏み出してみれば、そこは足首までつかる泥沼の中で、早くも靴はドロドロである。 登山道の傾斜自体は大した事は無いのだが、このありさまでは先がおもいやられる。

道の両側の笹がきれいに刈り取られ、登山道の整備中である事が見てとれる。 時間が時間なので出会う人は殆どが下山者だったが、途中でやけに速い単独のじいちゃんに追い抜かれた。 世の中には元気な人がいるものだ等と感心して歩いて行くと、笹刈りの現場に出くわし、そこでさっきのじいちゃんが元気に笹を刈っているではないか。 そりゃ速いはずだわ、お仕事ご苦労さまです、等と呟きながら七合目の標識を過ぎると、山頂部への標高差200mの急登が始まった。 幾つかの鎖場を通過して、高度を上げてゆくが、何かの本に書かれていた様な「胸突き八丁」という程の登りでもない。 F本氏とA尾女史が「私の胸は○カップ以下だからこのぐらいじゃ胸は突かないね。」「僕の胸なら突くかもしれないです。」等という能天気な会話をしているのが聞こえる。 そうこうしているうちに、九合目の山頂部湿原の入り口である坪場に到着した。

目の前には広々とした湿原が広がっていたが、雄大な筈の展望は半ば予想していた通り、ガスに遮られて殆ど無いも同然である。 それでも時々ガスの切れ目から、向かいの鳥甲山が見えるのがせめてもの救いであろうか。 それでも広大な湿原に点在する池塘や、その間を縫って延々と続く木道は素晴らしい眺めで、ここまで来た甲斐があったと思わせてくれる。 時期が早いせいか、高山植物はあまり見られなかったが、所々に花が咲いている。(花の名前を覚えていないのが情けないが・・・) 
湿原の中に延々と続く木道(途中にちょっとした樹林帯をぬけるが)を行くと、小一時間で山頂の山小屋が見えてくる。 この辺りまで来るとちょくちょく人に出会う様になる。 本日の山頂宿泊者だろうか、そういえば予約の電話では定員オーバーは覚悟しておいてくれと言われていた気がする。 山頂付近の湿原は結構な数の人が思い思いに散策を楽しんでいる。 ようやく本日の宿泊地である苗場山頂ヒュッテに到着である。

苗場山頂ヒュッテは数年前に建て直しただけあって、非常にきれいな建物であった。 受付を済ませて荷物を置くと、カメラ片手に山頂へと向かう。 しかし、ヒュッテから数分の山頂(三角点)はもう一つの山小屋である遊仙閣の裏手にあり、あまり「山頂!!」という雰囲気では無い。 数m向こうには遊仙閣の宿泊者がビール等飲みながらくつろいでいるので尚更である。 取り敢えず記念写真だけ撮って、湿原に向かう事にする。 湿原のベンチ(?)状の木道(?)に腰掛けてF本氏持参のビールで乾杯する。 他の同行者は飲み干していたようだが、自分は「一口は、旨いと思う、ビールだが、二口以上は、飲める気もなし」といった感じで、飲み残しは捨ててしまいました、御免なさい・・・。
食事の時間も近づき、寒くなって来たのでヒュッテに戻ると、人数が多い為に食事は3回だかに分けてもらうとの事である。 我々は2回目なので、空いた時間をゴロゴロして過ごす。 食事は山小屋の定番であるカレーライスだ。 お代わり自由というのが嬉しいが、最近お腹の周りが気になる自分は控えめにしておいた。(F本氏は何度かお代わりしていたようだ。) 食事も済んで、就寝前のくつろぎタイムには、山岳会のありかたや、今の会の現状やそれに対する不満などの話しで盛り上がる。 胸のうちに秘めていた事を吐き出して、少しすっきりした気分で眠りについた。 今回は大イビキで周囲を困らせるような不届きモノもおらず、少しはゆっくり休息できたようだ。

明けて翌日、目が覚めてみると表は既に雨が降っている。 朝食の時に今後の予定について話しあうが、ともかく雨だろうが雪だろうが下山しないことには話しにならない。 雨具を着込んだ完全装備体制で下山を開始する。 あまりの雨にカメラは既にザックの中にしまい込んでしまった。 写真も撮らずに下山に集中する。 湿原地帯を抜け、鎖場を交えた急勾配に差しかかると、日頃の運動不足の甲斐あって、毎度お馴染みである膝の痛みが始まった。 雨と膝と曇る眼鏡に悩まされながらも六合目に到着するが、ここからのぬかるみ道がまた長く感じられる。 大体の状況は昨日把握しているので、ドロ沼に突っ込む様な事はもう無いが、何となくみんな慎重になりペースは上がらない(お前のせいだろう・・・と自分に突っ込んでみる)。
五合目を過ぎる頃になると、下からやってくる人とすれ違うようになるのだが、ちゃんとした雨具をつけている人はよいとして、傘をさしている人、コンビニで売っているような簡易カッパを着ている人、このドロ沼状態をスニーカーや運動靴で登って来る人等、どうにも状況を理解できて無いと思われる人々が次々と登って来る。 しかも小さな子供連れだっりするから、また始末が悪い。 状況を良く考えて、時には撤退する勇気も必要だと思うのだが・・・。 そんな事を繰り返すうちに、やっと三合目の駐車場に到着する。 「お疲れさまでしたー」の声も心なしか元気が無く聞こえる。 雨具を脱ぎ捨て車に乗り込むと、さっさと出発する。 結局、下界では小雨だが山間部はどうなっているか分からんという事で、以後の予定は全てキャンセルする事になった・・・。
野沢温泉で汗を流して、名古屋に向けて一目散に帰るのであった。
(でも滝巡りいきたかった・・・)
  

天 候
7月11日 − 曇り
7月12日 − 雨

コース

7月11日 − 小赤沢 → 三合目 → 九合目 → 苗場山 → 苗場山頂ヒュッテ
7月12日 − 苗場山頂ヒュッテ → 九合目 → 三合目 → 小赤沢