宮指路岳(大岩谷〜イワクラ尾根〜県境尾根)

946m

山域:鈴鹿山脈

2000.04.16



大岩谷5m滝

大岩谷 白滝

二次林の中の道

明るく開けた源流

イワクラ尾根からの展望

県境尾根より仙ケ岳方面

宮指路岳山頂(山名表示板は控えめに)

山頂部の馬のり岩

焼木谷右俣 3m滝

焼木谷右俣 法丁の滝
久し振りの山行である。 思い起こせば、前回は今年に入ってすぐだった。 という事は3カ月のブランクがあるという事ではないか。 しかも今日のコースは予定通りに行けば、結構ハードそうな内容である。 衰えきった体力と治りきらない風邪(?)に悩まされながら、果たして最後までたどり着く事が出来るのであろうか。 一抹どころか百抹くらいの不安を抱えながらも、決行の当日がやって来たのであった。

目覚めてみると天気予報通りの大快晴である。 三角点マニア氏の車に同乗して、小岐須渓谷を目指して出発したのであった。 東名阪道は多少混んでいたものの、特に渋滞も無く青空を背景にした鈴鹿の峰々を眺めながら、8時半には小岐須渓谷の山の家に到着したのだった。 ここからは通行止めの標識がある為、山の家の駐車場で身支度して歩く事にする。 大石橋まで30分程だから丁度いい足ならしかと歩いて行くと、崩落の修復カ所を過ぎて10分程歩いた所で 1台のワゴン車がやって来た。 どうやら乗せてくれるらしい。 聞けば仙が岳方面へ向かうとの事で、当初の予定はどこへやら、大石橋までちゃっかり便乗を決め込んだのであった。

大石橋は焼木谷と大岩谷が合流する所にあり、予定では大岩谷の堰堤工事用に作られた道を行くはずだったが、橋の手前に「白滝ハイキングコース・大岩谷コース(専門ルート)なる古い標識があった為、ここから山道に入る事にする。 右手の山腹に取りつくと連なる堰堤を高巻くような感じでいい道が続いている。 三角点マニア氏によると堰堤のあたりに「こけ滝」があるはずなのだが、堰堤工事で潰れたか見落としたかで確認出来なかった。 4つめの堰堤を過ぎると、沢を徒渉し一旦は左岸の林道に上がるが、すぐにまた右岸へ徒渉し再び山道を進む。 10名程のパーティーが出発準備をしている横を抜けて山道を行くと、すぐに林業関係と思われる作業小屋に出くわす。 ここで、道は更に大きく高巻き気味に登り、尾根を一つ乗り越して右岸に紺屋谷を分けると、本流が右に大きく曲がり徒渉点の向こうに5m程の小滝を懸けていた。 あまり時間を浪費出来ないのはわかっていたが、5分だけのつもりで撮影させてもらう(実際は10分近くだっただろう)。 落差は無いが本流の滝なので、さすがに水量は多くなかなか見栄えがする。 そんな事をしているうちに、後続の大パーティーに追い抜かれてしまったのであった。 炭焼釜跡を過ぎて本流を徒渉すると左岸より松の木谷が出合う。 右手に向かう松の木谷コースも魅力があるが、今日は左手の大岩谷コースを行くのだ。 登山道が傾斜を増して来ると白滝の高巻きに入るので、左手の踏み跡を沢筋に向けて下って行く。 ざれた滑りやすい斜面を慎重に降りて行くが、足場が悪く何度か落石させてしまう。 先行パーティーがいるのに、もっと注意すべきだった。

沢に降りて最初に目にするのは、前衛の7m無名滝である。 先行パーティーの記念撮影が終わるのを待ち三脚を立てるのだが、すぐ上流に大きな滝が見えている。 さてはあれが白滝かと思ってファインダーを覗いていると、予想通りに先行パーティーの面々が現れては消えるので、暫くは撮影にならなかった(苦笑)。 ひとしきり撮影してから、偵察から戻った三角点マニア氏と白滝へと向かった。 白滝は落差40mの二段の滝で、上段は豪快に水を落とし、下段は滑滝気味に白布を懸けている。 想像以上に素晴らしい滝である。 早速に三脚を立てるのだが、落水にもろに陽光があたり前回の蒼滝と同じく(いやそれ以上に)低速シャッターが切れないのであった。 なにしろ今回はPLフィルターを家に忘れているので、最小絞りまで絞り込んでも無情にもシャッター速度は1/250 秒以下にならないのである。 また高速シャッターのみで、手持ちでフットワークを生かした写真を撮るようにするのであった。 早めに切り上げるつもりがまたまた1時間近く滞在してしまい、ちょっと恐縮しながら登山道へと戻る。

体調が悪かったら白滝だけで引き返すつもりだったが、なんとかもちそうなのと同行者の強い引き止めにあって、急な高巻き道を息をきらしながらのろのろと登って行く。 相変わらず登山道は沢よりかなり高い所に付けられており、樹林越しに見える本流にはなかなか良さそうな小滝がいくつも懸かっていた。 次回は遡行してみたいね等と話しながら行くと、ひときわ大きな滝が眼下に現れた。 おそらくこれが白滝上流の15m滝であろう。 しかし、白滝であまりに時間を消費したのと、沢筋に降りられそうな場所が見当たらなかったので、状況写真だけ撮って先に進む事にした。 本日の核心はここまでと思っていたのだが、実はこの先の源流部こそが本当の核心なのであった。

15m滝を過ぎると、すぐに沢は平流の様相となってくる。 二次林が美しい広々とした斜面をしばらく進み、左手に大岩を源流とする二の谷を分けると、本流の水量も大分と減って来て源流部の様相となってくる。 このあたりは沢と踏み跡が錯綜しているので、慎重にルートを見極めたい所であろう。 ここから沢の源頭までは開けた明るい雰囲気で、沢には幾つもの小滝を懸けるものの直登も巻くのも容易なので、技量と状況に応じて楽しむ事が出来る。 木々はいまだに葉を落としたままであるが、春の暖かい日差しを受けて沢の水がキラキラ輝いているし、時間が許せば一日のんびりと過ごしたいような場所である。 単独だったら迷わずそうした事でしょう・・・(笑)。 昼寝モードに入りたい欲求を押さえながら、ときおり小滝の写真を撮りながら、あっと言う間に楽しい時間が過ぎ去って行く。 水量が極端に減って来ると、いよいよ恐怖の源頭部である。 ここまでは久し振りの山行の嬉しさと桃源郷のような場所を行く楽しさで、すっかり忘れ去っていた登りの恐怖が私を襲うのであった。 源頭部の詰めはいつも厳しい登りが待っている(というか自分の体力が無いだけなのだが・・・)。 ざれた急斜面を立木等をつかみながら、ゼイゼイ喘ぎながら登って行くと(喘いでいるのは自分だけだが・・・)、ようやくイワクラ尾根にたどり着いたのであった。
そこは峠状になっており、イワクラ尾根を乗り越すと宮妻峡へ下る道になるようだが、この時点でかなり疲労を感じていた為、しばし迷うが「戻るのは先へ進むより大変」との声もあり、当初の予定通りに宮指路岳へ向かう事にする。 それにしても稜線上はとても風が強い。 昼食は風の当たらない場所で取る事にして暫く休憩していると、入道岳方面から60歳くらいの単独者が挨拶する我々を無視して、ものすごい速さで宮妻方面へ下って行った。 更に夫婦らしき二人連れがやって来たのを
機に、まだまだ先が長い道のりへと出発するのであった。

イワクラ尾根の道は結構アップダウンがあり、強風の冷えと疲労が溜まり始めた身体にはちょっときつい。 登りは一歩一歩踏みしめるように(のろのろとも言うが)進んで行く。 こんな時ほど日頃の運動不足を痛感するのであった。 暫く行くと右側がスッパリと切れ落ちている地点に差しかかる。 鎌ケ岳へ連なる主稜線と手前に聳える水沢岳が大きく見えている。 ここを通過して道が尾根を少し外れるあたりで、昼食タイムとする。 しかし、去年あたりから山行中にあまり食料が喉を通らなくなっているのは何故だろうか? 身体が重い(素直に体重が重いと言え!)分だけ汗をかくので水分はかなり補給するのだが・・・。 今回も大きめのおにぎりを一つ食べるのがやっとだった。 これではこの先は持たないと思い、フルーツゼリーを追加してから、主稜線である県境尾根を目指して出発したのであった。 休憩地点から10分程で県境尾根へ出合い、標識に従って宮指路方面へと左折する。 県境尾根沿いの道は比較的起伏も少ない歩きやすい道で、快適なお散歩気分で歩けるのだが、折からの強風で身体が冷えてとても寒い。 耐えきれず冬用の手袋を着けてその場をしのぐ事にする。 広葉樹林の尾根道は、強風さえなければ穏やかな日溜まりで昼寝でもしたい(こればっか・・・)気分の所である。 時々視界が開けて、前方に宮指路岳方面が、左手に入道岳とイワクラ尾根方面の展望が素晴らしい。 所々、踏み跡が怪しくなるので、快適さに酔って道を外しそうになり、三角点マニア氏のご指導を受ける事も度々であった。 大岩谷の名称の元になっている大岩を左手に見るようになると、程なく仏峠にたどり着いた。 樹林の中の静かな峠で、東にカワラコバへの荒れた感じの道が分かれている。 なんの標識も無い・・・、と思いきや背後の木の幹に「仏峠 山想山歩 *」なる彫り込みがあった。 むやみに標識をつけるのも考えものだが、こういうのもどうかと考えさせられるものがある。 しばしの休憩の後、久し振りの急登にまたまた喘ぎながら、無名のピークを越えていく。 背後には伊勢方面の展望が広がるが、眺めている余裕は既に無いのであった(笑)。 ようやくピークを越えるとほどなく(ようやく)小岐須峠に到着する。

気分は既に下山モードに入っており、宮指路山頂に行くかどうか迷ったが、「登りはあと10分」との励ましのお言葉に、最後の急登をつりそうになる脚をかばいながら登っていったのだった(山歩きを始めて数年になるが山行中に脚がつったのはこれが始めてだった)。 登り着いた平坦な広場が山頂かと思ったらまだ先があるようで、笹の繁る中を抜けてようやく疎林に囲まれた山頂にたどり着いたのだった。 休憩しながら先客の単独者と少し話しをすると、これからイワクラ尾根を抜けて入道岳まで行くつもりらしい。 既に時間は2時過ぎているのに随分とのんびりした話しである。 我々もまだ法丁の滝という目標があるので、あまりのんびりしてもいられない。 休憩もそこそこにして山頂を後にしたのであった(単独行のおじさんはまだ休憩していた)。

「馬のり岩」と言われる大岩のあるさっきの広場を抜けて下山にかかるが、またまた脚がつって思うように下れない。 だましだまし小岐須峠まで歩いて、暫くマッサージをしているとようやく収まってきたので、カワラコバ谷(紺屋谷)を法丁の滝目指して下り始めたのであった。 源頭部のガレた急な斜面をジグザグに下っていくと、程なく水流が現れて小滝を懸け始める。 何度も徒渉を繰り返すうちに、あちこちから小さな枝沢が合流して、沢と言える流れを形成し始める。 それまで比較的開けた斜面の下りだったのが、両岸が急に狭く切り立ち4〜5m程の小滝が現れた。 あまりゆっくりしている時間は無いが、2・3枚の撮影をしてからそそくさと先を急ぐ。 沢沿いの道が次第に沢から離れ右岸を高巻くようになると、樹林越しに大きな滝が懸かっているのが見えて来た。 状況からしてこれが紺屋谷大滝25mと思われる。 滝が見える地点からは斜面が急過ぎてとても沢までは下れないので、これは次回の課題(遡行?)として残す事にする。

登山道が崩壊している地点を三カ所程通過すると(うち一カ所はかなり大規模な崩壊で、トラロープあり)、左手に道を分けて峠状の場所を通過する。 ここが大峠(小岐須峠)に対する小峠と呼ばれる場所であろうか。 道は紺屋谷を離れて焼木谷右俣へと尾根を乗り越す。 植林地帯の暗い源頭部を下っていくと、3m程の小滝が現れるので休憩を兼ねて撮影する。 同行者は内心「またかよー」と思っていたに違いない(苦笑)。 しかし、私を誘った時からこうなる事はわかっていたはずなのである(笑)。 すぐに左手に大きな滝が落下しているのが見えた。 これが法丁の滝上流(上段?)の18m滝と思われる。 探せば下に降りるルートもあっただろうが、時間が押しているのでこれも次回廻しとする(宿題が多いなあ・・・)。 道は沢を離れるが三角点マニア氏の指示で左手の踏み跡に入り、滑りやすい湿った斜面を慎重に沢まで下った。 数分の遡行(という程でもないが)で法丁の滝(下段?)の前に出る。 上段は直瀑のように見えたが、下段は滑滝気味の女性的な感じがする。 あたりはかなり暗いので、白滝手前の滝以来の三脚の登場となった。 かなり疲れが来ていたので、まともな写真が撮れているかは謎である・・・。

登山道に戻り焼木谷コースとの合流地点を過ぎると、登山口はもうすぐだ。 大きな堰堤を沢方向へ下ると、林道まですぐ到着したのであった。 林道を右に進むと出発地点の大石橋から50m程進んだ地点に出たのだった。 後は舗装された林道を駐車場まで下るだけである。 今日一日の余韻にひたりながら、朝は目に入らなかった小岐須渓谷本流の景観を楽しんで下っていったのであった。 久し振りに滝あり縦走ありの充実した一日を過ごす事が出来たが、体力の衰えも実感させられました。 終始サポートして下さった三角点マニア氏には、この場で改めて感謝したいと思います。

 「やっぱり自然はいいねえ!!!」 




天 候 − 快晴(但し、稜線上は強風)

コース − 小岐須渓谷山の家 → 大石橋 → 大岩谷「白滝」 → イワクラ尾根 → 県境尾根 → 仏峠 → 小岐須峠 → 宮指路岳 →
       小岐須峠 → カワラコバ谷(紺屋谷) → 小峠 → 焼木谷右俣「法丁の滝」 → 大石橋 → 小岐須渓谷山の家