八高山

832m

山域:遠州

1999.03.22



金谷駅より富士山

八高山山頂へ

山頂からの富士山

南アルプスの展望


茶畑
山登りを始めて以来、いや免許を取って以来、電車を利用した旅行はほとんど行っていない。 通勤等には使う電車も、登山や旅行の時にはかえって不便になる事が多いからだ。 今では、大抵の場合は登山口まで道路(未舗装の林道の事もあるが)が通じているし、大抵の観光地には大きな駐車場が用意されているので、時間的制約の大きい電車での旅はどうしても敬遠しがちになってしまう。 もちろん、電車でなければ出来ない旅もある事はよくわかってはいるのだが・・・。

同好の士であるF本氏からの誘いで、久しぶりに電車を利用する山行に行く事になった。 駅から登れる山で、一等三角点、近くに滝があり、富士山まで見えてしまうという豪華な内容である。 山は「八高山」、静岡の大井川流域の山で、当然ながら大井川鉄道を利用して行く事になる。 同行者はF本氏、F原女史、そして珍しく私の母親の三名である。

JR名古屋駅で集合するのは我が会ではよくあるのだが、そこから電車に乗る事は誠に少ない。 大抵は、そこから誰かの車に分乗して、山に向かうからだ。 今回は青春18切符を利用して金谷駅まで行き、大井川鉄道に乗り換えて福用駅まで行くという行程になるようだ。 東海道本線の快速でまずは豊橋へ、乗り換えて金谷駅を目指す。 浜名湖を渡るあたりから、窓の外に雪をかぶった富士山が見え始めた。 今日の快晴のおかげだが、目的地の遥か手前から見えているんじゃ、なんだか有り難みが無い等と贅沢な事を考えてしまう。 金谷駅で無事に大井川鉄道に乗り換えるたが、この駅からも富士山が見える。 有り難いような、有り難くないような・・・。 ともかく金谷駅を出発した列車は、中をよく見ると、まるでワンマンバスのようで、下車する時に料金を払うシステムのようだ。 本当にこの辺りの人にとっては、バス感覚なのかもしれない。 途中、タヌキの置物が山のように置いてある駅等を経由して、無事に福用駅に到着する。 福用駅は無人駅だが、最近建て直されたらしく、割に新しい感じで、なかなか洒落た建物である。

駅前の案内板をちらと見た後、駅前の道にある「八高山」の標識に従い、民家や神社の前を通り過ぎて植林の山道に入る。 しばらく身体を動かしていないせいで、とても動きが重く感じられる。 他の三人は軽々と、息もあまり乱れることなく登って行くが、自分だけは汗を沢山かきながら、ゼイゼイと息を弾ませながら、のろのろと登って行く。 茶畑の中の道に入る頃には、前を行く三人に、だいぶ引き離されてしまっていた。 仕事が忙しかったとはいえ、情けない事である。 これからは、もう少しは身体を動かすように心がけないといけない、等と反省を交えながら、頑張って三人の後をのろのろと付いていくのであった。

茶畑を何度か横切ると小文集落からの道と合流する。 帰りはこの道を行こうかと話しながらしばらく歩くと、ちょっと開けた場所に出たので、ここで休憩を取る事にした。 ここまでは、立ち止まって息を整えるくらいの休憩だけだったので、行動食と水分を補給すると、生き返ったような気分になる。 15分も休憩すると、汗も引き肌寒くなってくるので、あまり歩きたくなかった(?)が、出発する。 しかし、すぐに林道に出てしまったので、ここからしばらくは登山というより散歩気分の林道歩きとなった。

車の轍に水が溜まり、小さな池を作っている。 良く見るとその中に紐のような物が、何本も浮かんでいるではないか。 どうも蛙の卵のようである。 こんな所で卵が孵化したら、車が来た時に大変な事になる(蛙にとってはだが・・・)とは思ったが、あまりにもあちこちにあるので、どうにも出来ないし、いま現在、産卵しつつある蛙の姿を見ると何も言えない(言ってどうなるものでもないが)のであった。 そんな事をしているうちに、林道が交差する馬王平に着いた。 時刻は昼時というのもあって、ここで昼食にしようかとも考えたが、中途半端な場所だし、林道の真ん中で食事をするのもいやな気がしたので、小休止だけにする。 帰りに寄る予定の大垂滝へ続く道を確認してから、山腹に取り付き息を切らしながら、急登を登って行くと電波反射鏡とかの施設の横を過ぎ、巨大な杉木立の間を抜けて行く。 この辺りでだいぶ先行グループに差をつけられ、白光神社の境内で待ってもらう破目になってしまった。 神社に安全祈願のお参りをしてから、左の尾根筋を登って行くとほんの5分程で、ベンチのある展望の開けた山頂に飛び出した。

山頂からは、富士山がはっきり・くっきりと見えるのだが、だいぶん遠いせいでいま一つ迫力が無い。 その上、既に電車の中から見えていたので、いま一つ感動が薄いのである。 南アルプスも遠くに見えて、確かに大展望なのだが、それをぶち壊して余りあるのが吹き荒れる強風である。 春とはいえどまだ三月である。 832mとはいえ山上を吹き渡る風は、とても冷たいのだ。 これが風も無い小春日和なら、のんびりと大休止という状況なのだが、この寒さではとてもそんな気にはなれない。 昼食を食べた後、少しだけ撮影タイムを取ってもらい、すぐに出発する。 皮肉なもので、身体を動かし始めると、さっきまでの寒さはどこへやら、すぐに汗が吹き出し暑くなって来る。 神社を過ぎ、謎の電波反射鏡を過ぎ、馬王平に戻る頃には、すっかり暖まっていたのだった。

さて、ここで今後の行程を話し合う。 本来の予定ならここ馬王平から林道を更に進み、大垂滝に向かうはずだったのだが、山頂での時間を大幅にカットしたので、予定よりかなり早い時間の電車に乗れそうなのだ。 滝までの距離を考えると、どうしても往復1時間以上はかかる。 おまけに自分以外は、特に滝に興味の無い人たちである。 それに帰りの時間を考えると、早めに出発する方が良い事は明らかである。 涙を飲んで、今回は滝行きはパスする事にした。 そうと決まれば、あとは電車の時間に間に合う様に下るだけである。 林道の蛙の卵の無事を確認したり、路肩に生えている蕗の薹を摘んだりしながら、鼻唄まじり(約1名だけ涙まじり)で歩いて行く。 予定通りに、茶畑での分岐を右に進み、小文集落への道を下って行く。 30分も下れば、大茶畑地帯の作業道に合流する。 後はこの茶畑地帯の中の道を、福用駅へ向かうだけだ。 しかし、茶畑の道は入り組んでいた、下手に踏み込むと明後日の方向に行ってしまう程に・・・。 少し迷いながら、雄大(?)な茶畑風景を眺めながら、小文の集落へと到着する。(しかし、この道を登りに選ぶと、茶畑地帯の途中でギブアップって事になりかねんな・・・。) 後は、家々の庭に咲きつつある花々を眺めながら、福用駅までゆっくり歩いて行った。

福用駅から電車に乗り金谷に着いたーっと、後は東海道本線で名古屋へ戻るだけ、のはずだった。 しかし、山頂であれだけの強風が吹いていたという事は、他の場所でも同じように風が吹いている可能性があるって事で、浜松での乗換列車が浜名湖の強風で運行中止になっていたのだ。 浜松駅で30分以上も来ない電車を待ちわびて、ようやく復旧した東海道線で名古屋まで帰ったのだった。

後日、調べた所によると、大垂滝は通常時は水が枯れている可能性が高いという事で、あの時無理して行かなくて良かったと、改めて思ったのであった。
  

天 候 − 晴れ

コース − 福用駅 → 分岐 → 馬王平 → 八高山 → 馬王平 → 分岐 → 小文 → 福用駅